営業をアウトバウンド型に移行させた「AI開発に強みをもつDX推進企業」。研修による意識改革でCEOは視野を広げ、担当者は率先して顧客の開拓を始めた

AIの活用を得意とするDXのプロフェッショナル集団「AMBL(アンブル)株式会社」。組織の方向性を定め、営業スタイルをインバウンド型からアウトバウンド型へ移行するにあたり、代表取締役社長でCEOの毛利政弘様はリポタによる支援を受けることに決められました。サービスの導入理由やサポート内容、営業担当者の方々に起きた意識改革などについてお話しいただきます。

AMBL株式会社様

AMBL株式会社様

所在地
東京都品川区大崎一丁目2番2号 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー10階
URL
http://www.ambl.co.jp
設立年月日
2001年3月9日
事業内容
・DX支援事業
資本金
7,992万円

PROFILE

毛利 政弘 氏

AMBL株式会社
代表取締役社長 CEO

毛利 政弘 氏

中野 豊明

リポタ株式会社
代表取締役

中野 豊明

顧客対応や感性の中で磨かれた営業スタイルを、可視化・仕組み化するべくリポタに相談

中野
まずは弊社を利用された理由をお聞かせください。どのような課題を解決するために、私たちにお声がけいただいたのでしょうか?
毛利
当時はAMBLという会社が立ち上がる前で、組織をどのような方向で運営すべきか検討を重ねていました。新たなリード獲得を目指すにあたり、私自身は新規顧客の拡充を重視しましたが、その意識がまだ社内に浸透していませんでした。すでに良質なお客さまに恵まれていましたが、とはいえインバウンド型の要望に対して応えるのみで、より成長するにはアウトバウンド型の営業方法も取り入れる必要があると考えました。そこで営業部門の一元化を進める中、弊社取締役COOである秋山の紹介で中野さんとの交流が始まりました。2021年のことですね。
中野
まずは御社が何を目指そうとしているのか、ミーティングで毛利様の思いを共有させていただきました。
毛利
私はこれまで営業担当としてキャリアを築いてきましたが、知識や経験を仕組み化して教える・教わる機会がありませんでした。だから、感性に任せた我流の営業スタイルが身に付いていて、お客さまとの関係の中で育まれたスキルも含め、いかに可視化すればいいのか分からずにいました。しかし、中野さんとの最初のミーティングに答えがあったわけです。エクセルの資料などを見ながら、今後の方向性を明確に示してくれたことを今でも覚えていますね。場所は五反田の居酒屋で、私はずっと「まさにこんな管理をしたい!」と口にしていました。
中野
ミーティング後にさっそく案件リストの整理を始めるなど、御社の迅速な対応が印象的でした。現在の営業活動も、居酒屋で話したイメージ通りになってきたのではないでしょうか?
毛利
中野さんから与えられる多くの気付きに社内の対応が間に合わないというジレンマがあるものの、思い描いていたレベルに近づきつつあります。例えば経営判断を検討するにあたり、あらゆるビジネスデータの可視化をするBIツールの導入など、組織がバージョンアップされていくのを感じますね。

研修の実施だけでなく、顧客訪問時や展示会のブースにも顔を出し、営業の在り方を示す

中野
その後は20人ほどの営業担当者を対象に研修を設け、「何度も繰り返し考えましょう」「物事を考える時に抜け漏れが無いよう、ひたすら5W1Hを意識しましょう」などと、かなりハードな課題を出させていただきました。そして学んだ内容を忘れないよう、研修後も時間を置いて「この課題の答えは何ですか?」とメールでもフォローしました。さらに、学生が試験対策に使うスマートフォンの記憶アプリも活用して、課題に関して繰り返し問う千本ノックも実施しました。
毛利
あのアプリは今も私のスマホにインストールしたままです。忘れた頃にリマインドしてくるため、効率的に記憶化できますね。自ら先頭に立ち「新たな営業意識を取り入れていこう」と開いた研修なので、参加した担当者に変化が見られてうれしいです。
中野
コロナ禍で対面の研修は少なめでしたが、それでもお客さまとの打ち合わせに同席したり、御社の展示会に参加したりしました。少しでも皆さんの参考や手本になればと、現場での動き方を示したわけです。
毛利
中野さんは弊社のブース前で、一緒に呼び込みもしていただきましたよね(笑)。展示内容はRBO-Field(ロボフィールド)とAIで、私も自社で作ったものが会場で広く受け入れられたことに感動しました。社員に自信が湧いていくのも強く感じました。
中野
御社のブースに興味を持って立ち寄る方が本当に多く、名刺も何百枚と頂きましたよね。
毛利
実際に会場で知り合ったAIプラットフォーマーの方々と、今まさにアライアンスを組もうとしています。展示会はすぐ結果につながらないと分かっていますが、案件が創出されるチャンスであり、継続的なアピールが重要だと改めて理解しました。今後も、年に1回でも2回でも参加できたらいいですね。

アカウントプランの作成を徹底し、営業担当者の顧客への向き合い方が大きく変化

中野
続いて2023年の初めに、経営陣やマネージメント層向けの研修合宿を開催しました。手応えはいかがでしょうか?
毛利
私が「アカウントプランの策定における考え方について、経営目線での指導方法を知りたい」と依頼し、実現した研修ですよね。実際に研修を経て、ある大手システムインテグレーターのお客さまとの接し方が変わりました。これまでは情報通信の部門にしかアプロ―チをしていなかったのですが、研修後は他部署への開拓も積極的に行い、すでにアポを取って営業活動に臨める状況になっています。「一生懸命に動こう!」というアクションが起きていて、これはアカウントプランを作らなければあり得なかったことです。いずれ全社的な営業スタイルになれば大きな変革につながると確信でき、とても有意義な研修でした。
中野
研修を前に御社の課題について考えました。営業担当の皆さんは案件を前にすると熱心に行動するも、話が頓挫するとお客さまとの関係も急に冷めてしまうため、そのことがもったいないと思っていました。先ほど話した展示会も、せっかくお客さまとの接点を作れるのだから長い関係に発展させて欲しいと願い、応援に駆け付けた次第です。案件を追うだけの営業スタイルではなく、会社と会社でどう向き合うべきか計画し、反省を踏まえて次のアクションにつなげていくのが大切だと考えました。
毛利
合宿を通じ、中野さんが以前勤めていたアクセンチュアに近いことができたら、より素晴らしいイノベーションが生まれると感じましたね。
中野
研修合宿後、御社の営業会議に出席すると「お客さまの戦略的な成長ビジネスがどこにあるのか、洗い出してプッシュしよう」「既存の枠をもっと横に広げよう」といった積極的な意見を聞くようになりました。とても喜ばしいことです。
毛利
中野さんの教えを受け、私自身も大きく変わったと認識しています。今日も打ち合わせで人材提案をする中で、案件の説明を受けた際にお客さまの背景まで考えられる自分がいました。例えば大手電気通信事業者のお客さまは、携帯電話基地局の劣化状況をAI検知するシステムを開発しようと、プログラミング言語のPython(パイソン)に長けた人材を必要としています。通常、弊社の立場であれば優秀な人を集めることに意識が向きますが、私の中では基地局の運営についても思い描くことができました。ニュースを見れば分かる通り、この業界では通話品質の低下が問題視されています。しかも利益構造を考えると新たな投資が生まれにくい状況なので、既存基地局の機能を高めることにシフトしていくことが想像できます。こういった仮説を立てられるようになり業界内の他社にも提案できることがあると思いつくことができるようになりました。1つの案件から多くを創出できるようになったのは、やはり中野さんによる5W1Hの話や千本ノックが頭の中で生き始めたからです。その気付きを発信することも大切だと分かり、今では営業担当者に「こういう発想をしたいよね」と毎日のように伝えています。もちろん答えを教えるつもりはありませんが、私自身が背中で見せることで、営業担当者が「毛利さんと同じ考え方を持って動かなければ」と思ってくれたらいいですね。AMBLの中で、中野さんの支援でここまでの成果が出ていることは、同じように営業担当者の育成方法で迷う他社の方々にも知ってほしいですね。

結果に向けてプロセスを意識するから、結果が伴う。これから目指すは「両利きの経営」

中野
研修合宿ではKPIについても触れました。その後、データ取集に3カ月を要しましたが、各事業が横断して同じ数字でKPIを見られるようになったと思います。この点はいかがでしょうか?
毛利
私自身、これまで営業担当として、目標達成のために行動面も含めて全て数字に落とし込んできたタイプです。だからメンバーの目標設定においても、アポイントの獲得数や営業をかけた件数を明確にし、やるべきことに集中できるよう数字で徹底管理することが必要だと考えていました。まだ十分に活用できていませんが、各自が数字から読み解こうとする意識になったので、まず第1歩は踏み出せたと思っています。
中野
結果ではなくプロセスの指標で改善して行動し、結果が現れたら、初めて的確な使い方を理解できるのかもしれません。
毛利
やはり結果を作るためのプロセスについて考えないと、結果そのものにつながらないですよね。
中野
ある打ち合わせで、秋山様が各事業部長の方々に「プロセスの指標について、結果の報告だけしないでほしい」と指摘していて、私もその通りだと思いました。すぐに皆さんとコンタクトを取り、指標を再確認するようアドバイスしましたが、単純に数字を追うだけでなく、いかに活用するかが非常に大事だと思いました。
毛利
このレベルに達すると、さまざまな予測を自分で立てられるようになり、仕事がとても楽しくなりますよね。手あたり次第とか闇雲ではなく、しっかりとめどを立てながら動けるので、自分の行動を効率化する意味でもプラス要素になります。
中野
毛利様と話していて感じるのは、営業担当者は足で稼ぐことも必要ですが、科学的なアプローチとの両立が不可欠なことです。どちらが欠けてもだめで、うまくミックスさせることが大切です。
毛利
私も最初は足だけの営業担当者でした。そこから「もっと成果を作りたい」と思った時に、足だけでは無理だと感じ始めました。中野さんから科学という言葉を初めて聞いた時にピンときましたね。
中野
2年前に伺った課題として、インバウンド型からアウトバウンド型への営業スタイルの変化を挙げていました。現在、私は御社の営業定例会議に出席していますが、この点での成長を強く感じています。
毛利
私が求めるゴールはもっと高い位置にあり、スピード感にも満足していませんが、全体的には中野さんの評価通りです。少しは成長しているのでしょうね。
中野
実際に新規のお客さまもかなり増えていますよね。
毛利
あとは広く、深くアプローチお客さまを1社、2社と新規で獲得できるようになってくると、AMBLもより変わってくるでしょう。最近「両利きの経営」に関する書籍を読んでいます。私が株式会社エイアイ・フィールドを立ち上げた際にプレゼントされた本で、新たに読み直しているのです。その中で「知の探索」と「知の深化」という双方の必要性が説かれていますが、企業経営では既存事業の磨き上げをはじめ、どうしても後者に偏りがちですよね。悪いことではありませんが、世の中は著しく変化しているため、知の深化のみに注力すると、技術面も含めてトレンドが変わった際に追い付けなくなってしまいます。弊社も今までは知の深化ばかりに取り組んできましたが、中野さんの営業に対する考え方も含め、知の探索と向き合う体制を整えたいとも考えています。私がいる間に両者のバランスをうまく取りながら、10年、20年、100年と続く企業になるための基盤を構築したいですね。
中野
おっしゃる通りです。知の深化のみだといずれ価格競争を迎えたりするので、探索も大事です。営業スタイルだけでなく、扱うサービスや製品も同様ですよね。

新卒2年目をCEOが直接指導。自分の目指す組織を、自ら育てた若手が作っていくのが夢

中野
非常にチャレンジングに会社の基盤を築き上げてこられて、将来はどのような組織を目指すのでしょうか?
毛利
全社のことを理解できる営業チームを作りたいと思い、営業統括部を立ち上げました。他事業部の取り組みへの理解などを深めていかないと成立しない部署で、当初は時期尚早とも思っていましたが、私は今も「社長を辞めて営業統括部長になりたい」とさえ考えています(笑)。そんな強い思い入れがありますね。
中野
確かに事業部付けだと、アップセルはできてもクロスセルをする機会が無く、チャンスがあっても拾えなかったり、そもそも意識を向けずにいたりします。だから組織を磨き上げ、メンバーを育て、体制を築いていくのですね。
毛利
以前は固定概念があったので避けていましたが、最近は新卒2年目のメンバーを私が直接指導するようになりました。常勤の社外監査役である渡邉が「毛利さんが教えることに、会社としても違和感は無いでしょう」と背中を押され、管理職を間に入れて関わるようになりました。アカウントプランや、自分たちの売り物をただ押し付けるような営業はやめようという話からスタートしていますね。お客さまの課題に対し、弊社ができることを的確にぶつけて、重なり合う部分がクライアントのニーズだと教えています。すでに、それぞれが私の言葉を理解し、彼らなりにお客さまの課題が何かを意識できるようになっています。あとは物事の調べ方を教えれば、そこから実行に移して自ら5W1Hを知ろうとするはずです。全員への指導は難しいですが、各部門である程度ターゲットを絞り、プレゼンに同行させてお客さまの質問や私の発言を聞き、お茶を飲みながら会話する時間を設けています。お客さまの悩みに対してどんな提案をするのか、裏側の背景から意図まで全て教えています。彼らが一人でも育てば目指す組織が作れるという、夢に向かって頑張っています。
中野
素晴らしいですね。私もサポートする中で課題に思っていたのは、継続性の弱さです。定例会議のアジェンダがいつの間にか変わっている、苦しいことがあると資料が数字ベースからテキストベースになっていることが気になりました。継続すれば見えてくることが必ずあるので、毛利様が入社2年目の皆さんを直に教育する習慣が根付くと、会社生活の先が長い彼らは継続性を持って意識や仕組みの改革に取り組むように思います。間違いなく若手がAMBLを作っていくわけで、50年や100年先を見据える中、最初の30年ほどは彼らと共に邁進していくのですね。